相続発生後の遺産整理手続きについて
ご家族(親族)がお亡くなりになり相続が発生した際、どんな手続きをどの順番でどのように行っていけばよいのでしょうか?相続が発生し、遺産整理を行うには(遺産内容、相続人の数等々によりですが)、かなりの手間と時間がかかります。
今回は、身近な方の死に直面し精神的にも肉体的にまいってしまっている中、少しでも手間が減らせるよう相続手続きの効率的な手順をご紹介いたします。
相続人の特定と遺産の把握
はじめに、相続人の特定をします。どのように特定させるかというと、お亡くなりになった方(被相続人という)の出生から死亡時までの除籍謄本・改製原戸籍謄本等を取得し、そこから法律上相続人になるであろう方の現在戸籍を取得します。この手続が相当手間と時間がかかり、戸籍の読み方や作成ルールを理解していないと、全てを正確に集めることは難しいです。お客様が「戸籍自分で集めました」とおっしゃって、実際に戸籍を見てみると大半が足りていないです。(例 出生時は親の戸籍、結婚したら親の戸籍を抜けて新たな戸籍、引っ越し等により本籍を変えた場合は変えた先で新たな戸籍、昔は簿冊上の戸籍であったものをコンピューター化した場合にも新たな戸籍と、人により何度もあちこちの役所に戸籍取得の申請を行わなければならない。)
この相続人の特定作業=戸籍の収集作業と同時並行で遺産の把握を行っていきます。
よく、「まずは遺産の把握・特定をしましょう」という記事をみかけますが効率的ではありません。
遺産を特定するにも例えば預金口座であれば、残高証明書という書類を銀行で取得して最終預金額を確認するのですが、その残高証明書を取得するにも預金名義人が死亡している記載のある除籍謄本等及び残高証明書の取得を申請する者が相続人であることを証明できる戸籍謄本が必要となります。
また、不動産であれば評価証明書というものを取得して確認していきますが、これも上記と同様の戸籍が必要となります。
そのため、「まずは遺産の把握」ではなく、相続人の特定作業の中で取得した戸籍謄本を使って遺産の把握を行っていく手順(同時並行に近いイメージ)が効率よく進めるコツです。
上記全ての戸籍を揃えたら相続法に則って相続人を確定させます。こちらは相続法を理解していないといけません。
(※遺言書がある場合についてはこちらをご参照下さい➡遺言書の種類・書き方について)
相続人・遺産確定後の遺産分割協議
相続人と遺産が確定した後、次はどのように遺産を分配していくかを決めなければなりません。
遺言書がない場合(遺言書があっても遺言書と違う分配方法は可能。ただし、遺留分に注意)、2通リの分配方法があります。1つ目は、相続法の規定する法定相続分(例 夫が死亡し妻と子供2人の場合、妻2分の1・子供それぞれ4分の1)で分配する方法。2つ目は、遺産分割協議という相続人全員で話し合って分配方法を決める方法。遺産分割協議では、法定相続分を無視して分配することが可能です。
通常は遺産分割協議の方法で分配します。というのも遺産が現金のみであれば良いのですが、不動産や自動車・その他物品・証券などの場合には、法定相続分で分けるには端数がでてしまうとか、共有状態になってしまう場合が多数のため分配しずらいわ、その後の使用・処分に問題が生じるケースが多いためです。
話し合いにより無事、遺産分割協議がまとまったらその内容を書面にし、相続人全員が署名及び実印にて押印して印鑑証明書を添付することにより、効力のある遺産分割協議書が完成します。
この遺産分割協議書に相続関係図(平たく言えば家系図的なものです)を使って預金口座からの引き出し(通常、預金名義人が死亡した場合、預金口座は凍結されてしまいます。)や不動産と登記名義人の相続登記、自動車・証券等の名義変更を行っていきます。
※遺留分とは、相続人に法律上保障された一定割合の相続分のことを言います。この相続分は本人が請求すれば(これを遺留分減殺請求という)必ず分配しなければならないものです。
相続税の申告
相続人・遺産の特定及び分配が終わりましたら、最後に相続税の申告を税務署にしなければなりません。こちらは期限があり、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内にしなければなりません。
そのため期間が迫っている場合は、預金の引き出しや名義変更などの手続きは後回しにできるものは後回しにして、先に申告を終えてしまい、その後に各種手続きを行っていけば問題ありません。
まとめ
以上、相続が発生した場合の遺産整理手続きの手順についての大筋についてご紹介させていただきました。
相続はそれぞれのご家族(親族)で様々であり、相続人・遺産内容により対応の仕方が大きく異る場合がございますので、ここでは一般的・抽象的なご紹介に留めさせていただきました。
相続人及び遺産の特定が一番大変な作業であり、お仕事をされながらこの作業を行うには多くの時間と手間や、無駄な支出が増えてしまう可能性もございます。そうこうしている間に、相続税の申告期限も迫ってきてしまいます。
弊所では、相続人の調査・確定作業➡遺産調査➡遺産分割協議書の作成➡口座凍結解除・各種名義変更(不動産登記についてはグループ法人である司法書士法人にて連動して対応させていただきます)の対応が可能です。
ご不明なことがございましたら遠慮なくお問い合わせ下さい。
(※相続・遺言の料金表についてはこちらをご参照下さい➡相 続・遺 言)