宅建業免許における「従たる事務所設置」について
宅建業免許を取得し、事業も順調に伸びており、「そろそろ2店舗目を出そうかな?」という場合に、どの地域に出すかや店舗形態で行政への手続きの仕方や費用・期間などが大きく変わってきます。本店以外に新たな店舗を出店される場合の種類や問題点、メリット・デメリットについて解説させていただきます。※営業している他の都道府県への出店については大臣免許への免許換えとなり、全く別の申請となります。
従たる事務所設置の要件!
従たる事務所で宅建業を営む際は専任の取引士を設置し、政令の使用人を置くことが義務付けられています。
専任の取引士は本店の専任取引士と兼ねることはできませんので、従たる事務所にのみ専従・常勤できる専任の取引士を雇用することが必要です。但し、政令の使用人は従たる事務所の専任の取引士と兼ねることが可能ですので、最少1名で従たる事務所を設置することができます。
事務所要件としては、独立したスペースで事務所内で接客や執務ができることが必要です。
他の法人と同じスペースを区切りなく共有していたり、住居と兼用で事務所とする部屋へ行くために居住部分を通過したり、事務所内を通って居住部分に入る場合は許可を受けるのは難しくなります。これは新規免許取得の際の事務所要件と同じですね。
新規免許申請の際と異なるのは、業者票・報酬額表の掲示が必要です。新規申請の場合は、まだ許可が下りていないわけですから業者票・報酬額表の掲示の仕様がない訳です(許可が下りた後は提示義務がございます)。
業者票は掲示内容に変更がある場合は変更後の内容のものをご掲示下さい。
つまり従たる事務所の設置申請の段階で従前に行政庁に提出している内容から変更がある場合は、変更申請も併せて行うことが必要であるということになります。報酬額表は現時点で最新のものが必要です。
「従たる事務所設置」申請の簡単な流れ!
①事務所の準備・書類の準備ができましたら、各都道府県庁に変更届出書を持参し仮受付をおこないます。この時点で事務所の形態等を書面で審査されますので、仮受付申請時で事務所が営業できる状態であることが必要です。
※仮受付から本受付までの期間で営業に必要な事務用品等が揃う予定であっても、仮受付の時点で営業ができると行政庁側が客観的に判断できない場合は仮受付を受理してもらえない場合がございます。
②保証協会に加入している方は申込後、追加分(従たる事務所分)の弁済業務保証金分担金を納付・自己供託の方は追加分(従たる事務所分)の営業保証金を供託します。
③保証協会での調査(事務所調査含む)
※各地域の保証協会により審査内容や審査時期が異なりますので、詳しくは加入されている保証協会へお問い合わせ下さい。
④弁済業務保証金分担金納付書(自己供託の場合は営業保証金供託済届)の原本と変更届出書(仮受付時に各都道府県庁から仮受付印を押され返却された書類一式)を再度各都道府県庁に提出し、本受付を受理されますと、従たる事務所での営業開始が可能となります。
※一度の届出で変更が完了する本店移転等の変更と異なり、従たる事務所設置申請の場合は、各都道府県庁に仮受付・本受付の二度行く必要がございます。
※①の仮受付から④の本受付まで、およそ1カ月前後の期間がかかります(保証協会へ加入されている場合。各都道府県庁により差がございます)。各都道府県庁で仮受付後、すぐに営業を開始することはできませんので、従たる事務所で営業を開始されたい時期から逆算して、申請に至るまでの準備を進めていかれることをお勧めいたします。
「支店」と「営業所」の相違点!
これまで総じて「従たる事務所設置」と表記してきましたが、従たる事務所には「支店」と「営業所」の2種類がございます。この、「支店」と「営業所」のメリット・デメリットついて表にまとめてみました。
メリット | デメリット | |
支 店 | ・本店から独立して契約行為ができる ・本店とは別に支店にて支配人を設置し印鑑登録をすることができる (結果、本店とは独立して業務を行うことができる) ・支店での融資が受けられるようになる ・会社登記簿に支店が記載されるため信用度や認知度がアップする | ・コストがかかる ※具体的には、支店設置や支配人設置のための登記費用や本店とは別に 法人税関連の税金が課される |
営業所 | ・コストを抑えられる | ・様々な行為の最終決定は本店で行う必要がある ・営業所単独での融資は受けられない ・あくまで本店の出先機関という位置付け |
表をご覧になっていただけると一目瞭然かと思いますが、「支店」でのメリット、デメリットはそのまま「営業所」でのデメリット、メリットとなります。
これでは「営業所」を設置する必要あまりないんじゃないの?と思われる方もいらっしゃるかと存じますが、営業範囲を広げる拠点として、まずはコストを抑えられる「営業所」として設置するのも有りかと存じます。
「支店」にするのか、それとも「営業所」として設置するのかは、各会社様の経営戦略次第になりますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、「従たる事務所設置」について解説させていただきました。
各都道府県庁により手続きは多少異なりますが、今回は審査が厳しいと言われている東京都庁への申請を例に解説させていただいております。
東京都庁の場合、上述の通り仮受付・本受付と少なくとも2回出向く必要(不備や補正があればそれ以上になることも…)があり、保証協会の手続きも併行して進めることになります。
2拠点目を出店しよう!という会社経営者様は、多忙で手続きの仕方を調べたり、行政庁へ何度も行ってる余裕なんかないよ!という方が多いのではないでしょうか?
ご自身でお調べになってやっと申請を出しても、何度も補正や出直しになってしまう可能性もありますよね。
また、従たる事務所を設置するためには、先に従たる事務所を借りなければなりません(自宅の場合は別ですが)。
そのため、申請手続きに手間取ってしまい、事務所を借りたはいいけど何ヶ月も本受付してもらえず、従たる事務所での営業を開始できないとなると、無駄な固定費や顧客獲得の機会損失となってしまいかねません。
そんなことにならない為にも初めから専門の行政書士へご相談いただくことをお勧めいたします。
弊所へご依頼いただける場合は、書類の作成・写真撮影・申請代行・保証協会の打ち合わせ等全て込みの料金にて対応させていただきます(料金表はこちらをご参照下さい➡宅建業免許の更新手続きと有効期限について!!)。
従たる事務所にての営業活動をスムーズに迎えられますようフルサポートさせていただきますので、お気軽にご相談下さい!